※アニメ感想です。ネタバレ等多分に含みます。あと推論を盛りに盛っているのであんまり深く考えずに読んでいただければと思います。
毎週日曜に放送している
ローリング☆ガールズ。あらすじなんかはリンク先の公式参照ということで。
夏以来の群雄割拠といった様相の2015冬アニメの中でも、個人的にはかなり楽しみにして見ているアニメです。しかしながらTwitterを見る限り評価は割と二極化している印象を受けます。
それについて抽象的な表現ながら所感を述べると、まぁ典型的な「点で見るアニメ」という感じで、キャラの可愛さや戦闘シーンの派手さというような瞬間最大風速で勝負してる代わりにシナリオや展開という「線」に雑さが見えて(例えば主人公一行が合流するまでの流れの強引さ)、その辺で受け付ける/受け付けないが露骨に出てしまうのかなと思います。僕はその「点」がどストライクだったので受け付けてる側ですね。
今回わざわざ取り上げてまで語りたくなったのは、このアニメが
徹底的にオッサンを狙い撃ちした懐古アニメなんじゃないかと思ったのをどうにかまとめたくなったからです。
というか、ブルーハーツなんか持ち出されたら黙っちゃいられねぇの方が近いかも。
いくつかに分けて見ていきたいと思います。
■ノスタルジックな記号の数々
このアニメの1話を見てまず何に度肝を抜かれたかって、主人公一行がカバーした「1000のバイオリン」なんですよね。そして2話を見るとOPで「人にやさしく」のカバー、しかもボーカルの望未の動き完全に甲本ヒロト真似てる…ぶっちゃけ初見ガチ泣きしかけましたね…
OP、ED、挿入歌、あと各話タイトルと至る所に散りばめられたブルーハーツ要素。自分らぐらいの世代ならまだ普通に聞いたことあるわけですし、それ以上の世代なら言わずもがなですよね。つかみとしてこれ以上ない手法だったと思います。
他にもこのアニメは昔を思い出させるような要素にあふれています。
例えばモサ同士の戦い。ヒーローバトルというもの自体もそうだし、マッチャグリーンはまんま戦隊ヒーロー、執行玖仁子はスケバンっぽいキャラデザです。
そして望未たちが旅する手段であるバイク。自分は全然バイクのことはわからないんですが、ネイキッドだったりスクーターだったり種類も様々だし、走る描写にもこだわってるなと感じました。
あとは世界観自体にもノスタルジアがあるように思います。各都道府県が独立国家としてご当地色を強めてるとか、「自警団」とか、あと通信手段が退化してるみたいなのもあるらしいですね。この辺りも地域社会の紐帯が強かった時代を想起させます。
特に主人公たちが住んでいるのは所沢、東京のベッドタウンなわけで、今現実にここに住んでいる人々ってどちらかと言えば自分の勤め先がある東京にアイデンティティ置いてそうだし、対照的に見えちゃうなと感じます(この辺りは特にイメージだけで言ってますスミマセン)。
こういった「点」の数々が懐古的で、タイトルにも挙げた「ALWAYS 三丁目の夕日」とダブって見えるなという。
■主体としてのローリング「ガールズ」
このアニメ、主人公一行が男だったら成り立ってないんじゃないかなと思います。
そもそも先に挙げた懐古的な要素ってどれもどちらかと言えば男の趣味なんですよね。バイクなんかは特に。
こういった男臭い趣味を、オッサンの対極に位置すると言っても過言ではない「若い女の子」が理解し実践してくれてる姿ってのは「クる」ものがあるんじゃないか、みたいな。実際「飲み屋でカシオレ飲んでるオンナノコよりも柳川鍋つつきながら日本酒飲む女子の方が男ウケいい」みたいな話とか昔聞きましたし。
(ちなみにコレを悪い方向に発展させるといわゆるオタサーの姫になりますね)美少女に大剣みたいなギャップ自体萌えの定型文なわけですが、本作は特にオッサン向けなところが多い気がします。
サブキャラではありますが、1話の真茶未と執行さんのラーメン早食いバトルもそういう描写って感じしましたね。だって可愛い女の子が一心不乱に汗かきながら顔真っ赤にしてラーメンすする姿って良くないですか?良くないですかね…
■投影の対象としてのモブ
主人公一行は主人公ではあれど、話の中では特殊な力なんか一切もってない一般人のモブです。だからこそ見る側は感情移入しやすいようになっています。
22歳のクソガキが知ったように言うのもなんですが、ブルーハーツやバイクなんかのロックな趣味にハマって、英雄にあこがれて生きてきて、とはいうものの名を挙げるような何者かにはなれず「普通」に生活している、みたいな人が大多数なわけじゃないですか。そういう人々がそれでも自分は自分の世界の主人公なんだぞみたいな自己肯定感を持つことが、モブの主人公たちが奮闘する姿を通して実現できるんじゃないかなと。
モサの戦いでふっ飛ばされる望未たちは、まさしく社会の荒波にもまれながらもなんやかんややりくりしている我々の映しなのかもしれません。
…さすがに言い過ぎましたか。
以上長々と熱弁を振るってしまいましたがいかがでしたでしょうか。おそらくキモかったと思います。
今後は多分全国行脚みたいな感じで展開していくんですかね?ここからどんなノスタルジアを表現してくるかも楽しみに見ていきたいです。
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