フローという言葉があります。経済学の方じゃなくてスポーツの方で。『風が強く吹いている』でフローを描写したシーンがあるので読んだ方は雰囲気をつかめるかも知れません。
フロー、僕は「入り込む」という言い方をしますが、これはちゃんとミハイ・チクセントミハイという人によって「1つの活動に深く没入していて、他の事が問題とならず、のめり込んでいるものそれ自体が楽しくて純粋にそれのために時間や労力を使う」といったような形できちんと定義されていて、スポーツ文化の面でも注目されている概念のようです。
以下は自分が走ってて感じるフローの話。「入り込む」という方が小慣れているのでそうします。
キツい練習のラストセットなんかで入り込んでいるという実感を得ることがあります。しかし狙って入り込むというところまではコントロール出来ず、気付いたら入り込んでいた、という状態ばかりです。
走ってて入り込んでいたと感じたのは最近だと3回ぐらいあって
1回目は夏合宿2日目午後の200m×3×3(r=walk、R=15min.)を終えた後の200m勝ち抜き戦で、カーブで先行された後に直線で抜き返して25"2で帰ってこれた時
2回目は最近あった300×3(R=10min.)を38秒中盤、39秒台でこなした後の3本目で正直ハムストボロボロで加速も良くなかったんですがカーブ抜けた辺りからスパートかけて先行した人何人か抜けた時(タイムは結局42秒台まで落ちてしまいましたが)
3回目は今日の(200m+150m+100m)×3(r=walk、R=15min.)の最後の100mを12"1で帰ってきた時
で、このように入り込んだ時はものすごいスピードが出ます。疲労度からしたらありえないぐらい走れる。
入り込む前兆として、他のことを考えられないぐらいの疲労感とか緊張感というのがあるかと思われます。前例を見てもやはりラスト1本ばかりですからね。
入り込んでいる時というのは、言葉では表現しづらいのですが、世界がぎゅっと狭くなる感じがします。自分の体の周り5mmぐらいと眼前に見えてるレーン(と、あったらハードルとか)以外に世界はないんじゃないかという感覚に襲われ、視野が狭くなった分自分の体とのコミュニケーションが活発になって、肉体と精神が限界まで調和して、これ以上ないほどの理想の動きをしてくれる。といった感じでしょうか。
その分代償も大きくて、終わったあとは魂が抜けたように文字通り動けなくなります。あと頭痛とかも割とあったりして、スポーツもここまで来ると健康に悪いなと思います。
本当はこれが大会の高次のラウンドで、疲れもあまりない状態で来ればベストなんですが、そういう時に限って発揮できない…というのはメンタルコントロールが甘いのでしょう。強いて言えば高3高体連の準決勝の8台目を超えた後は割と入り込んでいたかも知れません。ただ終わったあとの疲労感を見るにコレは一発限りの奥義みたいな印象があるので、今のところ使いどころを限定する(とはいえ、先に言ったようにやりたくて出来るものではないのですが)しかないのですが、やはりそんなもの使わずに勝てるようになるとか、コントロールしてあまり疲れないようにするとか、二発目も撃てるぐらいスタミナをつけるとか、もうちょっとどうにかならないかなぁとも思います。
入り込んでいる状態は確かに楽しいです。このために走ってるのかも知れないと思えるほどに。そして僕の性格的に「この感覚を一生味わうことのない人もいるなんて!」というのが快感を増長する感じもあります。遠慮無く気持ち悪いって思っていただいて構いません。
これから迎える3つの大会で上手く入り込むことは出来るのか、そういうことも意識しつつ練習を積んでいきたいです。
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